車を買う方法として一般化してきた 「残価設定型ローン(残クレ)」。
ディーラーでも
月々の料金を抑えて乗れますよ
と勧められることが多く、利用者が増えている購入方法です。
しかし同時に、
- 「残クレって損なんじゃないの?」
- 「実は高くつくって聞いたけど…」
- 「仕組みが複雑でよくわからない」
- 「返却・乗り換え時に追加料金かかるって本当?」
といった疑問や不安の声も多くあります。
この記事では、
残価設定型ローンを選ぶべきかどうか判断できるレベルまで、
徹底的にわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 残価設定型ローン(残クレ)とは何か
- 月額が安くなる仕組み
- 利用者が後悔しやすいポイント
- 支払い総額は普通のローンより高い?
- 返却時に追加費用がかかるケース
- メリット・デメリット
- 向いている人・向いていない人
- 他の購入方法(現金・通常ローン・カーリース)との違い
- 失敗しない選び方
1. 残価設定型ローン(残クレ)とは?まずは仕組みから
残価設定型ローンとは一言でいうと、
車の価格の一部の価格(3〜5年後の下取り予想額=残価)を後回しにして、残りだけローンを組む方法です。
通常のローンは、車両価格すべてを支払い対象にします。
しかし、残クレの場合は、車両本体価格と未来の下取り価格(残価)を分けて考えます。
例:300万円の車を残クレで買う場合
300万円の車の3年後の予想買取額(残価)が 150万円 と設定されたとします。
このとき支払うローンは、
300万円 − 150万円 = 150万円だけ
つまり、最初に払う部分が半分になるので、月額が安くなる のが最大の特徴です。
なぜ残価を後回しにできるのか?
残クレで契約した車は、契約終了後に 返却される前提 だからです。
返却された車はディーラーが中古車として再販売できます。
そのため、「将来これくらいで売れるだろう」という価格(=残価)が設定されます。
残クレの特徴を“3つのポイント”で整理
① 月々の支払いが安くなる
残価分を払わなくていい(後回し)
② 契約終了時に選択肢がある
3年後や5年後に、次の4つから選べます:
- 車を返却する
- 新しい車に乗り換える
- 残価を支払って買い取る
- 再ローン(残価だけのローン)を組む
③距離制限・返却時の状態チェックあり
返却前提の契約なので、走行距離や外装・内装の状態に制限や査定があります。
なぜ「残クレは損」と言われるのか?問題点を分解して解説
残価設定型ローンを調べると、必ず出てくるのが
「残クレは損」じゃないの?
という声。
ここではそう言われている理由を説明します。
理由①:支払い総額が高くなりやすい
残クレは、普通のローンより金利が高めに設定されていることが多いです。
(ディーラーによっては数%高い)
しかも、減らない額(残価)にも金利がかかるため、見た目の月額は安くても総額は高くなりがちです。
残価を含めた総額に金利がかかっていることに注意だね!
理由②:返却時の追加費用が発生しやすい
返却前提なので、
などは マイナス査定として請求されます。
中古車買取より厳しめの基準になることも多いです。
理由③:残価が高めに設定されがち
残クレは月額を安く見せるのが大きな目的です。
そのため残価を高く設定しがちですが、
将来の中古車相場が下がれば
『残価 > 実際の査定額』となり、返却時に追加請求されるリスクが出てきます。
理由④:買い取りにすると急に負担が重くなる
残価を150万円で設定したとします。
契約終了時に「買い取りたくなった」り「乗り続けたい」となった場合、
その残価(150万円)を一括で支払うか、またローンにする必要があります。
「月1万円台だと思ったら、急に150万円払う必要が出た」という声は実際に多いです。
残クレのメリットは?
デメリットばかりが目立ちがちですが、
実際はメリットも多く、うまく使えば非常に便利な仕組みです。
メリット① 月々の支払いが圧倒的に安い
ローンより月々の支払いを安くしやすいのは事実です。
メリット② 数年で乗り換える人には最高に相性が良い
車は3〜7年ごとに価値が大きく下がるため、
短期で新車を楽しむ人には合理的です。
メリット③ 車の売却・査定の手間がいらない
返却すれば終了。
売却手続き・車買取店との交渉のストレスゼロ。
メリット④ 将来の値下がりリスクを回避できる
残価は契約時に固定されるので、
中古車相場が暴落しても影響を受けません。
残クレのデメリット・リスクは?
デメリット① 距離制限が厳しい
月1,000kmの設定が多く、
遠出が多い人はほぼ確実にオーバーします。
デメリット② 原状回復の費用がかかる可能性
査定が中古車店以上にシビアなことも。
デメリット③ 中途解約は基本的に不可
途中で返したくても返せません。
やむを得ず返却する場合、違約金・残債清算が必要になります。
デメリット④ 買い取りすると総額が高い
残価分を最後に払うため、
最終的にローンより高くなることが非常に多いです。
残価設定ローンと通常ローンの比較
例として、車両総額300万円の車を、残価設定ローンと通常ローン(一般的な金利)の2つで比較します。
通常ローン(5年・金利3.5%・頭金なし)
- 月額:約54,600円
- 総支払額:約327万円
残価設定ローン(5年・残価150万円・金利5.9%)
- 月額:約29,000円
- 総支払額:約337万円(最終回の150万円を除く)
総額は残クレのほうが約10万円高いです。
さらに買取すると+150万円が必要になってきます。
残価設定ローンと通常ローンの違いのまとめ
| 支払い形態 | 月額料金 | 支払総額 |
| 通常ローン | 約54,600円 | 約327万円 |
| 残価設定ローン | 約29,000円 | 約337万円(+残価150万円) |
残クレと他サービス(カーリース・現金・銀行ローン)との違い
| 項目 | 残価設定ローン | カーリース |
| 所有者 | あなた | リース会社 |
| 返却 | 任意 | 返却前提 |
| 走行距離 | 制限あり | 大体制限あり |
| 自由度 | 高い | 低い |
| 車検・税金 | 自分で払う | コミコミが多い |
| 買取 | 可能 | 基本不可 |
| 総額 | やや高い | 高めだが管理が楽 |
残クレと銀行マイカーローンの違い
銀行ローンは金利が低く、
- 総額が最安
- 距離制限なし
- カスタム自由
というメリットがあります。
残クレは逆に、
- 月額を安く抑えたい
- 数年で返却・乗り換えたい
という人向き。
残価設定型ローンが向いている人・向かない人
残クレが向いている人
- 月額を安く抑えたい
- 3〜5年で車を乗り換えたい
- 契約終了時は返却で問題ない
- 走行距離が少ない(月600〜1,000km以内)
- 車を常に新しく保ちたい
残クレが向いていない人
- 車を長く乗りたい(7年以上)
- 距離を多く走る(月1,500km〜)
- 家族で遠出が多い
- カスタムをしたい
- 売却益まで考えたい
残価設定ローンを選ぶときに絶対に確認すべき5つ
最後に残クレで後悔しないためのチェックリストです。
| チェック項目 | 詳細 |
| 残価が高すぎないか? | 月額が下がる反面、返却時の追加費用リスクが上がる。 |
| 最終回の支払い方法は? | 一括払い?再ローン?その金利は? |
| 走行距離制限は? | 月1,000kmは割とすぐ届く |
| 原状回復の基準は? | しっかりディーラーに聞いておく |
| ディーラーのキャンペーンの有無は? | 金利が下がるキャンペーンをやっている場合がある |
まとめ:残価設定型ローンは「短期間で乗り換える人向け」
ここまでの要点をまとめるとこんな感じ。
| 条件 | 残価設定ローンとの相性 | 理由 |
| 月額を安くしたい | ◎(とても良い) | 元金が減るため月額が安くなる |
| 数年だけ新車に乗りたい(返却OK) | ◎(最適解) | 返却前提なら残価精算リスクが少ない |
| 最後に買い取りたい | △(あまり向かない) | 残価支払いがあり総額が高くなる |
| 長く乗りたい(7年以上) | ×(不向き) | 契約満了ごとに精算や買取が必要になる |
| 距離を多く走る | ×(かなり不向き) | 距離超過で追加精算のリスクが大きい |
| 車を資産として持ちたい | ×(不向き) | 残価精算や買取で割高になりやすい |
迷ったら“他の選択肢と比較”するのが一番安全
残クレはうまく使えばいいものですが、
人によっては、カーリースや銀行マイカーローンなど、
他の選択肢のほうが向いている場合もあります。
| 目的 | ベストな選択肢 |
| 数年だけ新車に乗りたい(返却OK) | 残価設定ローン |
| できるだけ総額を安くしたい | 通常ローン |
| 長く乗る/距離が多い | 通常ローンor現金一括 |
| 月額を安く抑えつつ新車に乗りたい | 残価設定ローン |
【30秒診断】あなたに最適なカーリースがわかる
どれだけ比較しても、
「結局どれがいいの?」
と悩むのがカーリースの難しいところですよね。
そういった方向けに自分に最適なリース会社を診断できるアカウントを作りました!
